未来思考 10年先を読む「統計力」 神永正博
- 作者: 神永正博
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2010/02/05
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 92回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
目次
PART1 少子化と結婚
第一章 日本の少子化、世界の少子化
日本の少子化、世界の少子化
・なぜ子どもが減ったのか
・コウノトリはどこへ
・少なく産んで、しっかり育てる
・なぜ子どもが減っているのか
・先進国の出生率を比べてみよう
・教育費と出生率の関係
・少子化を克服セヨ
第二章 結婚しません?
・未婚が増えている
・長すぎる春
・子どもは何人欲しいですか
・生物学的限界
・結婚しない/できない理由
・結婚の三大リスク
第三章 産む自由、生まれる義務
・世代会計−再分配の問題
・就学前教育の充実を!
・大学が高すぎる
・このざまはなんだ
・子どもさえ増えればいいのか
・統計的差別
PART2 都市と高齢化
第四章 人はどのように動いているか
・鳥の目でみた日本
・うつりゆく三大都市圏
・Tokyo
・Nagoya
・Osaka
・北の国から2010
・どこに住むか、誰と暮らすか
・成熟する地方
・秋田の現在、私たちの未来
・都市と田舎
第五章 都市は強力な磁場である
・人を引き付ける力
・ストロー効果
・超LSI都市
・Tokyo―8:00a・m
・街場の理論
・過去から現在
・そして未来へ
・列車の車窓から
第六章 都市壊滅!?
・耳をすませば―地震の足音
・地震用語の基礎知識
・70%は本当か
・考えるヒント
・ゆらぎの構造
・正しく恐れよう
PART3 仕事と経済
第七章 仕事というぜいたく
・社内失業
・蜘蛛の糸
・非正規雇用が止まらない
・非正規へと続く道
・最低賃金をあげよ、さらば救われん?
・「同一労働同一賃金」は正しいか
・リスクを織り込む
・きれいはきたない、きたないはきれい―ワークシェアリング
第八章 もし世界がひとつの村だったら
・相対的貧困率=貧困の指標?
・相対的はく奪
・先進国における貧困とは?
・非正規増加のミステリー
・日本の制作がまずいのか
・グローバル化を追い詰めろ
・かつてのアメリカ
・先人の心情
・モノ作りは、まず安いものから
・逃げ遅れる人たち
・公害を引き受ける「世界の工場」
・失業する中国人
・貧困を抜け出すチャンス
・格差をもらたす共犯者
第九章 日本は変わるのか
・労働市場の二極化
・これまでのビジネスモデルが通用しない時代
・フランスの知識人
・人口減のインパクト
・成長のレシピ
・日本が発展した秘訣
・失われた10年の犯人
・勤勉こそ美徳?
・急募:戦略家
・技術力をムダにするな
別に目新しい未来図が描かれているわけではない。
現在手に入る統計情報を駆使して、堅実にこれから10年先の未来を描きだす。
ただ、その堅実さがスゴイ。
統計情報は生きている。
無味乾燥な数字の羅列ではない。
例えば、非正規雇用の増加が社会問題となっている。
本当だろうか? たしかに統計学的にも非正規雇用の数は増えている。
さらに非正規雇用者の給料は正規雇用者の給料を低いの常識。
なるほど、いつリストラされるのかわからない状況で低賃金で働かせられる非正規雇用の人たちはかわいそうだ。
じゃあ、非正規雇用の「いつ切られるのかわからないリスク」を織り込んで、正規雇用よりも給料を上げれば良いんじゃない? その分、正規雇用者の給料は減らすけどね(^^)
というのが著者の主張。
なるほど、筋が通ってはいる。現実的にうまくいくかどうかは置いておくとしても、給料が高いけど不安定、給料が低いけど安定とう2パターンの労働形態はたしかに合理的だ。
現実を冷静に見つめて、理にかなった(青臭いとも言う)解決方法を模索したい人は必読の書。
だと思う。