レダ
- 作者: 栗本薫,野川いづみ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/01/10
- メディア: 文庫
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内容から言って、感想やら解説を書くことが無粋な気もするけど。
あまりに傑作すぎて、ため息しか出てこない。
定数ばかりでがんじがらめの世界は、楽であり、静的で美しいのかもしれないが、同時にひどく窮屈だ。
主人公であるイブはシティ・システムに住む少年。
シティ・システムは、もうある種滑稽なまでに厳格な社会。
なにもかも、趣味・思考、性交までもが厳格かつ静的な型に押し込めれている。
例えるなら、フーコーの狂気の歴史が指摘した管理社会がいくところまでいっちゃった、そんなところ。
一見、人間性を尊重しているかに見え、その実、シティ・システムにとって理想的な人間たらんことを強制されている。
それは、見てくれだけは信じられないくらい美しく、人類の英知の結晶とも言える。
イブも特にシティ・システムそのものに疑問を持つこともなく、落ちこぼれのコンプレックスに悩む平均的な少年だった。
レダに会うまでは。
レダはわけがわからない。掴みどころがない。
シティシステムの住人が定数ならば、レダはランダム変数。
異質な存在である。
見た目だって悪い。よく見ると、目には小じわはあるし、やせっぽっちだし、シティ・システム的には「かなりのブス」。好ましい者ではない。
が、イブはなぜか非常にレダに惹かれてしまう。
彼女が「ディソーダー」なのに。
「ディソーダー」はシティ・システムにとっての必要悪。
理想ばかりでは社会はうまく成り立たないという事は、シティ・システムは百も承知で、いわゆる「ガス抜き」として「ディソーダー」という社会のはみだし者達を受け入れている。
日本の不良が、みんな似たような脱色した髪にだらしのない格好という定型に自分をはめて「俺は不良だぜー」といきがっているのと同じように、ディソーダー達もどこか自慢気だ。
だが、レダはただただ自然。
それは純粋で可愛いなんてレベルではなく、ひどく繊細でおそろしく不安定。
周りの人間は翻弄されるばかり。
そんなレダの世界に翻弄されていくうちに、やがてイブは己の存在に疑問を持ち始めて……。
なぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。ぐぁーーーーーーーーーーーーー。
もっとはやく栗本薫の本読んどけば良かった。