幻詩狩り

幻詩狩り (創元SF文庫)

幻詩狩り (創元SF文庫)

中二病っぽい設定だ。と読み終わってから気づいた。
だって、読んだ人間がおかしくなる(異界をみたり、そこに鏡が存在していると考えたり、次元が異なる存在になり時間を飛び越えてしまったり)詩にまつわる話なんだから! 
「俺の詩が人間どもを狂わすぜ! ヒャッハー!」ってな感じか。まぁ、なんと素敵な中二病。しかもシュールレアリスムとそれが結びつくんだから素敵。
ただ、残念なのは言語SFなのに、肝心の詩は、それ自体を載せず遠まわしにどれだけ凄いかっていうのを表現しているだけなのだ。
 言語SFって銘打つくらいなら、『残像に口紅を』くらいの実験をやって欲しかった。
終わり方も案外あっさりしていたし……。
 はじめはワクワクしたけれども、最後のほうではちょっと失速した感じがした。

 人をある意味で破滅に導く詩が蔓延した世界を書いたら、ディストピアものになったんだろうな。