なんでコンテンツにカネを払うのさ?

なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門

なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門

●目次

はじめに 岡田斗司夫

chapter01
電子書籍の自炊から著作権を考える
電子書籍の自炊はいけないこと?
家族が1万人いたら、自由に「私的複製してもいい?」
バイトを雇って「自炊」するのはOK?
スキャンしたあとの書籍は、処分しないといけないの?
私的複製の範囲をコントロールするDRMの問題
自由にコピーしてよくなったら、売り上げは減る?

chapter02
著作権は敵か、味方か?
意外に新しい著作権という考え方
プラトンアリストテレスとダイエット
作品で食っていけるクリエイターなどいなかった
法律で遊ぶのは大人の務め
クリエイターの稼ぎと流通の促進のバランス

chapter03
コンテンツホルダー
プラットフォームの戦い
著作権がないと社会はつまらなくなる?
日本はコンテンツ輸入国だ
著作権保護は終わりのない撤退戦?
コンテンツホルダーは強者なのか?
力を持つのはプラットフォームか?
カネはいらないとクリエイターが言い出したらどうなる?
広告収入モデルはクリエイターを救うか

chapter04
クリエイターという職業
野球でメシは食えない
プロとして食えるのは日本で1000人
創作で食えなくてもいい?
僕たちが欲しいのはコンテンツではない
人はライブの体験にお金を払う
「タニマチ」がクリエイターを救う
つまらないけど豊か、貧乏だけど楽しい、どちらを選ぶ?
あらゆる産業がシュリンクする
人はデジタルというパンドラの箱を開けてしまった
コミケ地域通貨を導入する
救うべきは貧乏なクリエイターではない

chapter05
ネットの中に国家を作り上げる
全メディアアーカイブ構想とは?
オプトアウトで大量のコンテンツを集める
コンテンツと一緒に石けんも売ろう
圧倒的な力を持つ米国発プラットフォーム
僕たちは二重に税金を支払っている
マネタイズを諦めれば、奴隷から解放される
総合コンテンツ企業「株式会社日本コンテンツ」
経済のありようが変わる
著作権、そしてコンテンツの未来は私たちにかかっている

おわりに 福井健策


●雑感
違法ダウンロード刑罰化が何かと話題なので、本書を読んでみた。


結論。

やっぱり解答は出ていないのだ。

コンテンツをフリーにする事によって、クリエイティブが下がるかもしれないが、それによって二次創作が活発化してクリエイティブはあがるかも。


必ずしも、著作権とクリエイターの意欲・創作物の質はトレードオフの関係にない。

無料でも確かなクオリティのものは存在するだろう。

ただ、完全にコンテンツをフリーにすることは善なのか?

フリー化によって、損失よりも利益が上回るなんて誰にも保証できない。

うむ。まさにその通りだわ。行末は神のみぞ知る。



ただ、岡田氏も福井氏も「著作権についてもっと活発に話しあうべき」っていう意見では一致している。

お上が著作権について勝手に決めて、それを後から「日本の著作権って遅れてるよなwwww」ってネットで叩くだけなのはかっこわるい。

そりゃ、確かにカッコ悪いなぁ。







あと、ネットの世界ではプラットフォームを独占したものがコンテンツも支配できるってのは当たり前になっている。
この問題も取り上げていて、ちょっとおもろかった。


プラットフォームを持っている相手に対して、どんなに正論をぶつけても「いやなら、私たちのプラットフォーム使わないでください。ただ、私たちのプラットフォーム使わないとネット上では存在していないも同じです」って言われたら議論なんてできない。

相手の言い分をそのまま聞くしかないではないか。


グーグルやFacebookによって流通のプラットフォームが独占され、知らず知らずのうちに日本のコンテンツを守れなくなったらどうする!?


それを防ぐためには、日本製の強力なプラットフォームが必要で、福井氏は既に色々とやってるみたい。

オプトインではなくオプトアウトでつくり上げる、巨大データベース。

発想は良いけど、これまた法律が問題になり……。



でも、ある程度のグレーゾーンを歩かないと日本に未来はないのかもしれん。


色々と考えさせられた一冊。