ヒトは感情によって進化した

人は感情によって進化した (ディスカヴァー携書)

人は感情によって進化した (ディスカヴァー携書)

序章 「野生の心」と「文明の心」
「感情」と「理性」は完全に分けられるものではない
感情が思考を方向づける
「感情」はジャングルや草原で身につけた

第1章 恐怖と不安
「高所恐怖」も「閉所恐怖」も生まれつき持っている
「恐怖」が意識に臨戦態勢をとらせる
恐怖を克服すべき場合・残しておいたほうがいい場合
「不安」を解消するのによいテクニック

第2章 怒りと罪悪感
人もサルも「怒り」で上下関係を確立する
怒りは権利を守り、集団生活を発展させた
怒りが集団内の協力と平和を生み出した
集団間の競争が個人の能力の多様化を生んだ
「じぶんへの怒り」はどうして起こる?

第3章 愛情と友情
動物には子孫を生き残らせるための「愛情」と「冷酷さ」が同居する
子育てのために配偶者に愛情を示す
「友情」が集団内の協力をはぐくんだ
博愛の精神まではなかなか持てない
遺伝情報の欠陥で協力関係を築けない人もいる

第4章 好きと嫌い
食べ物の好き嫌いも生きのびるために必要だった
配偶者の好みは子どもを多く産み育てるのに有利かどうかから
得手不得手は集団内で必要とされる能力から始まった
学習と教育のはじまり

第5章 嫉妬と後悔
配偶者への嫉妬は一夫一妻制を守るために役立った
集団内の嫉妬は利益を配分させるためだった
利益配分は現代も重要な問題
「後悔」は失った配分を取り返す行動の源になった

第6章 自己呈示欲と承認
「欲求」と「感情」は同じもの
自己呈示欲求の目的は、自分の得意な技能を表明し集団に貢献すること
狩猟採集時代は集団に承認されるかどうかが死活問題だった
言語の起源は自己呈示だったかもしれない
現代は自己呈示が集団への貢献につながったかどうかが不明確

第7章 楽しさと笑い
肯定的感情を持てない個体は淘汰されてしまう
「共感」が集団の協力を円滑にし、生き残らせた
笑いは楽しさを伝播させる効果が高い
共感能力は女性のほうが高い

第8章 悲しみと希望
苦しみや悲しみが生き残りに果した役割
「同情」か「お金」かという問題の裏には野生と文明の対立がある
痛みは感情に近い
希望をもつことの功罪

第9章 信奉と懐疑心
信じることで集団の協力がうまくいった
じぶんを信じられない人が超常的なものを信じやすい
狩猟採集時代の小集団は互いに信用できる安心な集団だった
何を信じたらよいかわからな

もう少し、論拠をしっかりと示して欲しい。


 根拠をあいまいにしたまま、進化の過程から心のあり方を述べると「上から目線で適当なこと言われている」感がすごい。

 

 例えば、「進化論的に考えると、好奇心は失われつつある」という記述。

 昔は、危険をおかしてでも新しいものにチャレンジして、種としての可能性を広げる必要があった。
 
 でも、生活が安全で快適なものになると、わざわざ危険を冒してまでアホな事をする必要はない。
 だから、現代では必要のない好奇心は失われつつある。


 という内容なんだけど、私はこれは違うと思う。





  
 好奇心は形を変えて生き残っている。
 

 かつては危険なものを、安全に扱える技術が増えたことで、好奇心は「危険をともなうもの」ではなくなってきているのは確か。

 安全でなおかつ好奇心を発揮するといえば、これはまさしく「遊び」で、

 現代のハッカー達がまさしくその「遊び」で様々な技術を発展させてきたことを考えれば、「好奇心は衰退した」ではなく「好奇心が遊びに形を変えただけ」だと思う。




 これも論拠があいまいだから、話半分に聞いたほうが良いけど。