援助者必携 はじめての精神科

はじめての精神科―援助者必携

はじめての精神科―援助者必携

1 手を出す前に考えておくこと(基本の基本を検討する
家族と地域に関するいくつかの事柄 ほか)
2 かれらの苦しみ―病気は何をもたらすか(統合失調症
うつ病 ほか)
3 わたしたちの困難―だから精神科はむずかしい(恨まれる、ということ
我々自身の怒り、悔しさ、不快感 ほか)
4 電話相談―受話器を片手にして「できること」と「できないこと」(鼻白んだ経験
無防備な立場 ほか)
5 Q&A―いざというとき役立つテクニック集(患者さんと話す
妄想を聞いてもいい? ほか)

 精神科医を志す人、必読。

 こういう本こそ、必要だと思う。


 

 本書は極端に現実的な本である。


 教科書的な、「お行儀の良い」知識でもなければ、どこぞの熱血正義漢が書いた、うざったい精神論でもない。

 精神科医として、長年誠実に患者と向き合ってきた医療者が持つ「治療者や家族が疲れずに、できるだけ効果的に治療をするための、現場の知恵」が書いてある。

 キレイ事ではなく、あくまで現実的に「これなら出来そう!」ということが書いてあるわけです。

 


 精神科において、誠実であることと、「熱血」であることは必ずしもイコールではない。

 プロたるもの「親切おばさん」では行けない。退くところは退き、突き放すところは突き放す。

 そういう姿勢が大切だと教えてくれる本はなかなかないね。


 

 以下、気になったところメモ。


 「自殺します」と言われた時にかける言葉に正解がないことを知るのが、正解であること。(覚悟を決めること)。

 患者のストーリーを否定もせず、肯定もせず、患者の感情を肯定すること。


 必要なら嘘をつくくらいの、度胸を持たないと精神科医はやってられないこと。



 同情や、親切では続かない。狂気に対する、職業的な好奇心が湧くようでないと疲れてしまう。




 

 
【精神科】【治療のヒント】