20世紀SF 1940年代 星ねずみ

20世紀のSFの流れをたった六冊で見れてみようという、なんとも大胆なアンソロジー。これはその一冊目。

収録作は、
フレドリック・ブラウン 星ねずみ
アーサー・C・クラーク 時の矢
アイザック・アシモフ AL76号失踪す
レイ・ブラッドベリ 万華鏡
ロバート・A・ハインライン 鎮魂歌
C・L・ムーア 美女ありき
ウィリアム・テン 生きている家
A・E・ヴァン・ヴォート 消されし時を求めて
エドモンド・ハミルトン ベムがいっぱい
シオドア・スタージョン 昨日は月曜日だった
チャールズ・L・ハーネス 現実創造

非常にわかりやすい短編が並ぶ。要するに「ひねくれた」作品が少ない。素直にセンスオブワンダーな作品というところ。

星ねずみ は、初めて宇宙にいったねずみの話だし
時の矢 は、タイムパラドックスと考古学を混ぜたブラックユーモアだし
AL76号失踪す は、迷子になったロボットの起こすドタバタ
鎮魂歌 は、宇宙を夢見た年老いた金持ちを、たとえ死んでも宇宙へと旅立たせようとする話だし
美女ありき は事故で体を失った美女がロボットの体で復活する過程を描いたものだし、
生きている家は そのまま生きている家(主人のためならなんでもする)だし
消されし時を求めて は、ちょっとロマンティックなタイムトラベルものだし
ベムがいっぱい は、SF作家の生み出した宇宙人が実在しちゃったっていう話だし
昨日は月曜日だった は、今日という「舞台」を作る人と、それに紛れ込んでんでしまった「役者」の話だし
現実創造 は、この世界は僕たちが認識する形に変化する(観念的な意味ではなく、物理的な意味で)という話。

今から見ると結構素朴だが、大変わかりやすいし今のSFのパターンが散りばめられているという事がよくわかる。