「狂い」の構造

「狂い」の構造 (扶桑社新書)

「狂い」の構造 (扶桑社新書)

 精神科医春日武彦と、ホラー作家の平山夢明(ちなみに本名らしい)が、人間の狂気について気楽な感じで語りあった対談集。

 
 狂いのポイントは「面倒くさい」


 たとえば、バイクのメット入れに乳児を入れて、殺しちゃった母親の場合。
「どうしよ。これからでかけるのに、どっかにあずけるのもなー。たった二時間くらいだしな。あ、このメット入れでいいじゃん。めんどうくさいし」

 
 母親殺しの犯人の話。
 母親が「あの子はダメね」というのを聞いてしまった。母親が、自分にそんな暴言を吐いたんだから、殺されても文句はいえないはずだ。あいつが悪い。


 普通なら、あと一歩でも推測していればどこかが「おかしい」と気づくはずなのだが、面倒くさいのか、考えない。


 すると、人間は意外とかんたんに狂う。



 認知症の母親と2人暮らしのサラリーマンが、徘徊をとめるために、母を鎖でつなぐ。助けを求めるのが面倒くさいのだろうか。

 
 DVの夫となかなか離婚できない妻がいる。離婚するのにもエネルギーが必要で、色々と「面倒くさい」から現状維持を続ける。





 話者達の、主張が正しいのかはわからないけれど、簡単に人は壊れるというのはなんとなくわかる気がした。



 


 とりあえず、今の自分の状況がなんかおかしいとか、スランプに陥っているときは、「徹底的に部屋の片付けをしろ」という春日武彦のアドバイスは有用だと思った。


 
 平山夢明さんは、これでスランプを脱したらしいが、部屋汚いと心も、体もなにもかも淀む気がするのは確か。




 読んだ本をいちいちメモしているのも、そうしないと、体の中に気持ちの悪い「読みカス」が溜まっている気がするからかもしれない。


春日武彦】【平山夢明】【狂気】【掃除】【面倒くさい】【殺人鬼】