バイオパンク
- 作者: マーカス・ウォールセン,矢野真千子
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2012/02/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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目次 : 1 ハック/オープン(シンプルな遺伝子検査/ アウトサイダーのイノベーション ほか)/ 2 リード/ライト(生命の言語を読む/ 生命の言語を書く)/ 3 セイフティ/リスク(バイオテロ/ アウトブレイク)/ 4 ライフ/サイエンス
いい本だなぁ。
かつて、コンピューターが巨大で、企業の中に鎮座ましましている時代はコンピューターに触れられる人は少数だった。
だが、時代が進み、「小型で自宅にコンピューターがある」時代になってから、コンピューターは多くの人に触られた。
そして、多くの優れたハッカー達によって「いじくりまわされた」結果、LINUXやApacheなど素敵なオープンソース・ソフトウェアが誕生したという歴史がある。
そして、歴史はくりかえす。
バイオの分野でも機材が格段に安くなったことなどから、バイオの分野を「自宅でいじくる」人があらわれた。
彼らがバイオハッカーである。
バイオハックに手を出す理由は様々で、もともとのハッカー気質がバイオの分野を「いじりたくて仕方ない」から自然に手を出すもの。
発展途上国で、安価な検査機器を作るために、ガレージラボで研究をするもの。
製薬会社の「みんなに効く抗癌剤」ではなく、「自分にだけ効く抗癌剤(一人ひとりにあった抗癌剤)」を作りたくてハックするもの。
と、様々。
ただ問題もある。バイオハック=バイオテロ と考える人が多いこと。
実際、バイオハックから凶悪なバイオ兵器が生まれる可能性もなくはない。
が、DNAを組み替えて新しいバイオ兵器を作るよりももっと簡単に、安価でバイオテロを起こす方法はいくらでもある。
いちいち、ガレージラボで新しいバイオ兵器を作ることは「割にあわない」のだ。
また、ハックするという言葉から「体制に反抗する」というイメージを持つ人も多い。
が、これも間違い。
確かに、コンピューターのオープンソース活動の黎明期にも巨大資本に対抗する意味でオープンソース活動に参加していた人も少なからずいた。
が、現在では少数派だ。
今では巨大資本の研究と、オープンソース活動は互いに協力しあっている。
例・たとえばLINUXのユーザーサポートで儲けている企業は多い。が、その手厚いサポートはLINUXユーザーを結果として増やし、オープンソース活動に良い結果をもたらしている。
バイオハックも同じ。
大学や、製薬会社の研究がなくては立ちいかない。
ただ、大学などの大きな研究では埋められないニッチなところへのニーズはかなりのものがある。(このへんの話はロングテール理論として、一時期非常に話題になった)
そこを埋めるのがバイオハッカーであるし、そこから得る恩恵もかなりなものになると筆者は主張する。
いやぁ、でも、どうなるんだろう。
自分は単純に「おもしろいからもっとやれ」と思ってしまった。
にしても、やっぱアメリカ人は「いじくる」のが大好きなんだなぁ。
【バイオハック】【DNAシーケンサー】【キックオフ】