『破裂』、『神の手』、『第五番』
- 作者: 久坂部羊
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破裂は、高齢者が医療費を圧迫してるから、高齢者の心臓を破裂させて、殺しちゃおうよ! って話。
神の手は、安楽死を日本でも成立させようよ! って話。
第五番は、病気がなくなったら困るじゃん? 医者のステータスも低くなるじゃん? それを阻止するためにWHOは、時々新興感染症を「わざと」おこしてるんだよねー。って話。
三作品とも、熱心な自己犠牲に富む医者と、クソ医者が登場するんだけど、この久坂部羊って絶対医者嫌いだな。熱心な医者はどっか嘘っぽいのに、クソ医者はいやんなるくらいリアルな描写。
自分も医者のくせに。
ろくに診療もしないで、お仲間のことを悪く言う小説をせっせこ書いてなにが楽しいのかと思う。
そして、陰謀論大好きな医者には診察して欲しくない。ネオナチとか、WHOを牛耳る黒幕とか、どこの三流映画かと……。
ただ、小説のテーマとなっている医療問題はわりとまとも。
高齢者医療が国の医療費を圧迫してるのも確かだし、安楽死を望んでいる人が多いのも真実。
WHOの陰謀論は知らんけどな。
でも、わざわざ高齢者をぶっ殺さなくても、怪しげな団体作って安楽死法を無理やり成立させなくても。
このままだと、高齢者にかぎらず、お金のない人がまともな医療を受けられなくなるのは間違いないし(というか部分的にもうそうなっているし)、終末期医療の悲惨さと苦痛、医療費を食いつぶしている現状を考えて、安楽死が議論されるのも時間の問題だと思うんだけど。
TPPでそのへん、面白くならんかなーと思う。今までみたいに、どんな不誠実な医者でも儲かるってのはイヤね。あと、勤務医と研究医の待遇ももっとよくしようぜ。
少なくともノブレス・オブリージュの観点から言えば、今の勤務医とか研究医はもう少し、高貴になっても良いと思うんだが。
高貴さと義務が釣り合っていないよね。義務おい過ぎて死にそうじゃん。ていうか、死んでるじゃん。
【久坂部羊】【滑りやすい坂理論】【あってもなくても困るのが安楽死法】【陰謀論好きはどの業界にもいるのな】