風立ちぬ

この映画、どう消化して良いのか未だにわかんない。


二郎が、奥さんの外見しか見てないクズ野郎だって意見もあるし、素晴らしい映画だったって絶賛すする意見もある。
天才のエゴイズムが丸出しになった気持ち悪い映画だっていう人もいる。


自分は全体としてはいい映画だったと思うけど、どうして二郎が菜穂子に対して「きれいだよ」ばかり言うのかってがすごく気になっていた。




初めは、二郎が人の外見しか見てない男で、菜穂子が美人だから結婚した。という意見に賛成だった。

実際、菜穂子が血を吐いたという知らせを受けて、駆けつけた時の第一声が「きれいだよ」だったのは、不気味だった。
好きな人が倒れたら、そんな事言う余裕ないと思うが。



じゃあ、やはり二郎は菜穂子のことはそれほど好きじゃなかったんじゃないか。
菜穂子の美しい体が好きなだけ。


菜穂子の前にお手伝いさんに恋してる描写もあるし、そうっぽいと映画見終わった後は思っていた。


でも、それじゃあ、菜穂子は鯖の骨と一緒じゃないか。


それでは菜穂子があんまり哀れだ。
いくらなんでも二郎に都合の良いだけの女性じゃないか。
最後も山の上で、孤独に亡くなるし。
フィクションとは言え、あんまりだ。


もし、菜穂子の立場だったら頭おかしくなるな。
たまたま美人に生まれついたから、好きな人と結婚できたけど、好きな人は自分の外見しか見ていない。
「きれいだよ」ばかり言う。おそらく長生きは出来ないだろうけど、もし私が長生きしたとして、しわくちゃになっても、夫は私のことを好きでいてくれるのかしらん。

うわぁ…、これは辛い。




でも、そうだとしたら、菜穂子が最後に「あなたは生きて」って言うのはおかしい。
どんなに二郎のことが好きでも、外見ばかり見ているような夫に「あなたは生きてなんて」いうだろうか。
「もう、あなたの愛した私の体はないけど、お前はそれでも生きろよな!」とか言う、意味だって考えれば筋は通るけど、そんな後味悪い映画作るかなぁ。




で、やっぱり二郎は菜穂子のことが大好きだったんじゃないか。と最近は思っている。


大体、難病持ちの人を妻にするって今も昔もそんな気楽なことじゃないだろうし。
普通の結婚よりも大変だけど、色々考えた上で、それでも一緒にいたいから結婚を決意したんだろう。



映画の中で結婚の場面が1番気合入っていたしね。




で、二郎は菜穂子のことが好きなんだが、上手く伝えられない。

なんってったってオタクですから。


だから菜穂子に「きれいだよ」しか言えないのではないか。「愛している」なんて恥ずかしくていえんという。


それか、もしくは、菜穂子は結核で顔色が悪い。

それをどうも当の菜穂子自身も気にしているようだ。




だが、俺は顔色が悪かろうがなんだろうが、あなたが好きなので、あなたはいつもきれいなのだ。

だから血を吐いて、顔色悪いだろう時にもあなたに「きれいだよ」と言うのだ。

これで良いのだ。


これじゃまるで、バカボンのパパなのだ。



だから、あの普通じゃ考えられない、吐血後の「きれいだよ」は、不器用な男の精一杯の言葉だったのかもなぁ。
で、菜穂子もその不器用さを理解している。だから、二郎のことが大好きだと。




うーん。しかし、あの時菜穂子って顔色どうだったっけなぁ…。

結婚してから毎日、菜穂子が化粧をしているっていう説明はあったような?



どっちにしろもう一回見に行ってみよう。飛行機と計算尺ももう一回みたいなぁ。